人材の育て方

日本では少子高齢化に伴い、働き手不足が声高に叫ばれており、特に中小企業においては全体の約7割が人手不足を実感しています。新しい人材が入ったものの、育て方がわからないという企業も多いのではないでしょうか。
終身雇用制が当たり前だった時代では、入社した会社に定年まで勤め上げるという考え方をもつ社員が多く、会社としても時間をかけて、現場で仕事を覚えさせることができました。

しかし、この時代においてそれは難しくなっています。
理由は、終身雇用制の崩壊、仕事や家庭に対する考え方の変化、男女共同参画社会、働き方に対する法規制・・などいろいろあります。

企業としては、入社した社員をできる限り早く一人前に育てる必要性があり、研修の方法も変化させる必要があります。
今回は、どうすれば丁寧かつ迅速に人材を育てることができるのか、そのヒントをお伝えしたいと思います。

1.会社が大切にすることを分かりやすく伝える

貴社が大切にしていることは何でしょうか。会社が成長し続けるためには、顧客とスタッフどちらも大切にする必要があります。会社は顧客やスタッフのために大切にすることを定義し、分かりやすく伝えるようにしましょう。方針が明確になることで、スタッフ自身も進むべき方向を見定めることができます。

2.目標(会社・部署・個人)とその理由を伝える

会社の目標、部署の目標、個人の目標はそれぞれ明確でしょうか。また、その理由を理解させていますか。明確な目標の存在はスタッフの前向きな姿勢を引き出します
さらに、理由を伝えることで部署や個人が会社に対して担っている役割を示し、説得力が増します。個人目標については、面談等を行い、スタッフ自身の口から表明してもらうように働きかけましょう。

3.求める行動を具体的に伝える

会社として大切にすることや目標を定めたら、個人に対して求める行動を具体化しましょう。
例えば、下記のようなことを決めます。
顧客を大切にするために→連絡は必ず当日中に行う、期待を超える仕事をする。
スタッフを大切にするために→毎日大きな声であいさつをする、スタッフ同士で良い点を褒めあう。
どんな行動を求めるか、可視化しましょう。その際、できる限り数字や期限を決め、具体的な内容にしましょう。

4.スタッフ一人一人と向き合う

日本企業のほとんどは、これを苦手としています。
皆さんは、スタッフ一人一人と向き合っていますか。どんなに元が優秀な方でも、向き合うことを避けていれば成長を実現できません。スタッフ一人一人の課題や悩みをキャッチし、コーチングを行うことで、スタッフは自ら課題解決に向かって進むマインドに変化します。
業務が忙しすぎて部下となかなか会話ができていない、業務連絡しかしていないという方は要注意です。部下の不満がたまり、モチベーションが下がっている可能性があります。
向き合うというのは、飲み会を行うことではありません。定期的に、業務時間中に時間を作り、面談を行うことが大切です。面談を行う際は、上司が一方的に話すのではなく、部下が話しやすい環境を作り、考えを整理できるようにサポートしましょう。決して話を遮ってアドバイスをし始めてはいけません。

5.進捗管理を徹底する

会社が大切にすることを決め、目標を設定したら終わり。では意味がありません。
目標の進捗度合や進捗のペースについて、最低でも1ヶ月に1度は確認しましょう。
効率的に目標進捗管理を行うために、重要となる指標(KPI)と月単位での目標進捗率(マイルストーン)を決めましょう。

重要となる指標(KPI):例えば売上UPを目標とした場合、単価を上げるのか、客数を増やすのか、どちらに注力するかによって、行動も変わるはずです。
目標達成のために注力する指標のことをKPIとして表しています。

目標進捗率(マイルストーン):例えば半期での目標を設定した場合、月ごとにどれぐらいの達成率を目指すのかというように、長期目標に対して短期目標を設定することにより、進捗を管理する手法です。

6.チェックと改善を徹底する

計画を立て、行動するという段階までは、ほとんどの企業ができています。しかし、その後のチェックと改善については、おざなりにされている企業が多いです。
結果的に達成したからOK、未達だから次頑張ろうという姿勢では個人も会社も成長することができません。
達成したときは、「なぜ達成できたのか」「どんな工夫をしたのか」を振り返り、言葉にすることでスタッフの学びとなり、成長につなげることができます。
未達のときは、「どうすれば次達成できるか」「どんな方法を試すか」を具体的に決め、行動を改善し、次回達成に向けて歩みだすことで、スタッフと会社の成長を実現することができます。

本日は、人材の育て方について記載いたしました。今までに取り組んだことがない内容については、ぜひ今日から実践してみてください。方法が分からない、うまくいかない・・ということがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

投稿者: 【中小企業診断士】高司浩史

高司浩史(たかじひろし)です。 大阪府出身、長野県在住、1988年生まれ、二児の父親です。 令和元年度中小企業診断士試験に独学でストレート合格、 令和2年度中小企業診断士登

コメントを残す

%d